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ビー玉遊び
ビー玉を見て何を思い浮かべますか?
水耕栽培、水槽、手洗い場、インテリアや手芸の材料・・・。
様々な色や形、思わずため息が出るような高価なものに至るまで、たくさんの種類を目にしますが、私はそんなビー玉を見つけると、楽しかった子どもの頃の遊びをいつも思い出します。
私が子どもの頃もあちこちで様々なビー玉が販売されており簡単に手に入りました。
ただ、手に入った場所は今のようなおしゃれなインテリアショップでもなく、ペットショップでもなく、園芸用品店でもない、当時ひとつの町に一軒は必ずあるのではないかと思える程沢山あった駄菓子屋でした。
『あの店にはこの色のこのサイズがある!』
『あっちにはこんなのがあった!』
『ふっふっふ、新しい駄菓子屋を見つけた!』
『え?!何処???』
『・・・秘密!』
3厘玉、5厘玉、1分玉・・・当時、駄菓子屋のおっちゃんおばちゃんはビー玉のサイズである直径を日本の単位で呼んでいたのですが、私たちも普段使用しないその単位を少々大人気分で使いまわし、意味があるような無いような会話ばかりしていた頃がありました。
この不思議な会話はおそらく小学校の高学年だったと思うのですが、単にビー玉集めをしていたからという事ではなく、実はある《楽しい遊び》で夢中になっていたからなのです。
その楽しい遊びは取った取られたの世界であり、みんな目の色を変えて真剣でしたので、子どもなりにリサーチまでして盛り上がっていたのでしょう。(《取った取られた》では表現が微妙ですので、ここでは《所有権が変わる》と表現しましょう。)
『おいおい、がりとんで教えてもらう遊びは投げゴマにしろ、ベーゴマにしろ、今の時代に昔のルールを適用すると問題が出てくるかもなぁ・・・』
なんてこともあるかもしれません。
確かに遊び道具の《所有権が変わる》ものが多いですから。
でも、大切なことであり学ぶべきことは《所有権が変わる》という事ではなく、そこに至るまでの子供同士のルール作りとその過程なのです。
・なるべく公平になるようにルールを作って遊んでみる。
・遊んで問題のあるところは修正する。
・そしてまた遊んでみる。
この繰り返しで遊びの中に歴史を作り、ルールも完成されていくのです。
負けると悔しく、上手くなろうと練習する。
心に残る楽しい外遊びは社会の縮図です。
所有権が変わらないようなルール設定だっていくらでもできるのですから、じっくり本気で家族で子ども同士でワイワイガヤガヤ遊んでみるのも悪くはないのではないでしょうか。
大学時代いろいろな地方の人とお友達になりましたが、ある時同じ遊び(地方によって微妙にルールやタイトルは異なりましたが)をしていた事で盛り上がったことがありましたので、これをご覧いただいている中にも同じ遊びをしていた方がいらっしゃるかと思います。
しかしどのようにして日本全国に広まったんでしょうね。
後にご説明するビー玉の弾き方まで同じだったんですよ。驚きです。
長い前置きでしたが、そろそろ盛り上がっていた頃の記憶を引っ張り出してご案内しましょう。
ビー玉でもいろいろな遊びをしましたが、よく遊んだルールをいくつかご紹介いたします。
1.ビー玉遊び 玉落とし
地方により【目玉落とし】とか【ビー玉当て】とか呼ばれているようです。
《用意するもの》
ビー玉
《コートのつくり方》
的となるビー玉を適量地面にばら撒きます。
《ゲームのすすめ方》
老若男女すべての人は背筋を伸ばし手玉となるビー玉を目の高さで構え、地面にある的のビー玉を狙います。
そっとビー玉を離し、的のビー玉に当たったら当たったビー玉の所有者となります。
プレイヤー一人ずつ順番に繰り返し一番沢山ビー玉を持っているプレイヤーが勝者となります。
2.ビー玉遊び 線出し
これも地方により名前が異なり【線引き】や【陣出し】などと呼ばれているようです。
《用意するもの》
ビー玉
《コートのつくり方》
2〜3メートル位の間隔をあけ地面に線を2本描きます。
2本の線の内側でどちらか1本の線Aに近いほうに的となるビー玉を適量ばら撒きます。
ビー玉を撒かなかった方の線@はプレイヤーの立ち位置となります。
《ゲームのすすめ方》
上記のプレイヤーの立ち位置用の線@から足が内側に入らないように構え、的となるビー玉を狙い手玉のビー玉を投げます。
当たったビー玉が線Aの外に飛び出したら、その時飛び出たビー玉全ての所有者となります。
プレイヤーは順に進めていき、最後に沢山ビー玉を持っている人が勝者となります。
線の代わりに丸や三角、四角などいろいろな形を描き、その中に的となるビー玉を入れても楽しいです。
3.ビー玉遊び 天国と地獄
《用意するもの》
ビー玉、穴掘り道具、土の地面
私が生まれ育った場所は神社や寺が非常に多く、私たちはこの神社や寺に《ビー玉用専用コート》を多数隠し持っていました。
隠し持っていたのには『穴を掘ってはよく怒られた』という理由があったからなのですが、ある寺だけは他と異なり良い知恵を授けてくれたのです。
そのよくできた寺の住職の言葉。
『穴を掘って遊んでもかまわないので、遊び終わったら人がこけないように砂で埋めて隠しておきなさい。そうすれば次に遊ぶ時、砂を掃うだけで遊べますから。』
私たちはあまりにも突然すぎて最初何を言われているのか分からなかったのですが、その意味を理解するや、お礼もそこそこにそのまま実行。その後手分けして他の寺や神社に交渉し、《ビー玉用専用コート》を多数所有することができたのです。
皆様もコートを作る際には良き理解者をお探しいただき、土地の所有者には了解を得るよう、また後片付けはきちんとするようにしてください。
《コートの作り方》
前記の用意するものの中に《地面》がありましたが、ビー玉がよく転がったほうが楽しいので、しっとりと土っぽく掘りやすい土地よりも、公園のような踏み絞まった土地をお勧めいたします。
図のようにすり鉢状の穴を5個掘り、足や近くに落ちている枝などで線を引きます。
穴間の距離や穴の直径及び深さは遊びながら決めていただければと思いますが、私が子どもの頃遊んでいたコートでは通常穴同士の距離は2〜3m(等距離でないほうが面白いと思います。)、中穴は大きく直径15cm程度、天国穴、地獄穴は小さく5〜6cm程度、右穴、左穴は同じで10cm程度、
深さは深くても5cm程度から始めてみてください。
(迷惑や怪我などを考え、問題にならない程度でお願いいたします。私は小学生の時どうしても大きなコートで遊びたくなり、友人と一緒に校庭を丸ごと使い作りましたが、徐々にエスカレートし穴を大きく掘りすぎた為、結局怒られてしまいました。ちっ・・・)
もちろん距離や大きさ、比率は自由ですのでお好みで調整してください。
《ビー玉の弾き方》
この遊びでは独特のスタイルがあります。
1.ビー玉の今ある位置を基点として、その基点に利き手でない方の手の親指を置きます。
2.両手の小指同士を指切りのように結びます。
3.ビー玉を利き手の親指と中指でつまみ、人差し指でビー玉を弾けるようにビー玉のしたから人差し指の爪側をあてがいます。
※1〜3を実行すると最終的にこのような形になります。
4.ビー玉を人差し指で弾いてみてください。おそらく結構な勢いで飛ばすことができると思います。飛ばない場合は練習してください。
※弾く力を調整して距離を考えながらゲームを進めていくことになりますので、どのくらいの力でどのくらいの距離がでるのかを確かめて自分のものにしてください。
5.ビー玉が転がって止まった位置が次の基点となります。
《ゲームのすすめ方》
ルールは簡単です。
線を引いた位置からスタートして順に穴に入れて進んでいく遊びです。
1.スタートは線より手前であればどこからでもOKです。
2.穴を巡る順番ですが、
線(START)→地獄→中→右(左)→中→左(右)→中→天国→中→右(左)→中→左(右)→中→地獄→線→地獄(GOAL)です。(右左の順番は各自自由です。)
3.一人ずつ順番に一つ目の穴《地獄》を目指しビー玉を弾きます。
※最初の1投目は誰からでもよいので、順次弾きます。
(ここは公平にジャンケンや小さい子順で弾きましょうか。)
※最初の1投目で地獄穴に入れてはいけません。(1投目で入った場合は何回休みや、弾く順番が最後になる、などの罰則を用意しておきます。)
※2投目以降は地獄穴に近い人から順番に弾き、この順番がゲーム終了まで続きます。
(ちょうどビリヤードのバンキングと同じような決め方です。)
4.穴に入ったら続けて次の穴に向けて弾くことができます。
また、穴に入らなくても他のプレーヤーのビー玉に当てたら自玉は次の穴に進むことができ、当てたビー玉を弾き飛ばすことができます。そして穴に入れた時と同様に続けてビー玉を次の穴に向けて弾くことができます。
但し、スタートから最初の穴(地獄)に入れるまでは他のビー玉に当てることはできません。もし当ててしまった場合は1回休みです。
※弾き方は写真のように利き手で親指を握らず軽く握り、フリーになった親指の腹と握った人差し指でビー玉を支え、親指を人差し指側に押し込むように、且つビー玉を滑らせるようにして弾きます。
※弾き飛ばされたプレーヤーは飛ばされたその場所が次の基点となります。
(こんな所まで飛ばされた!!)
※一般的には遠い所に飛ばしてしまいますが、ちょっと考えてみるとお互いがすごく得する良い方法もあります。遊びながら考えてみてください。
※ビー玉を1回弾いて2個、3個・・・と連鎖的に当たった場合は、それぞれを弾き飛ばし、自玉は連鎖した数分(2個、3個・・・)先の穴に移動できます。
5.弾いた自玉が次に行くべき穴に入れられないか、他のプレーヤーのビー玉に当たらなければ次のプレーヤーへ交代となります。
※次に入れるべき予定の穴ではない別の穴に入れてしまったら1回休みです。
6.穴を巡りゴールである地獄穴に入れたプレーヤーから順に《上がり》となりますが、上がったと同時にそのプレーヤーは《鬼》となります。
(鬼になったぜ!)
何故グッドスマイルなのか???
《鬼》になると一般的には残念な役割を連想してしまいがちですが、このゲームはちょっと違います。
実はここからがこのゲーム(《所有権が変わる》遊び)の面白いところであり、真の始まりでもあるのです。
(にひひっ・・・)
7.《鬼》となったプレーヤーは他のプレーヤーを狙い、当てたらビー玉を取る事ができます。ビー玉を取られたプレーヤーはここで終了です。
(くっそー!取られた・・・)
※《鬼》になっていないプレーヤーが《鬼》のビー玉に当てた場合は、《鬼》のビー玉を弾き飛ばせることはもちろんのこと、自玉は2個先の穴に移動できます。
※《鬼》になったらどの穴に入ってもOKで、たどる道順もありません。
ひたすらビー玉を狙うのみです。
※鬼同士の場合は当てた人が勝者となります。
(結局敗れ去り、がっくり・・・)
8.《鬼》が一人になったらゲーム終了です。
(優勝!!!)
これは私が子どもの頃に遊んでいたルールですので、それぞれ遊びやすいようにルールは相談して作り変えてください。
もちろん穴の大きさや深さもどんどん変えてみてください。
私たちも、穴の中は安全地帯だの、最初の1投目で地獄穴に入ったら10回休みだの、手の大きい子は得するからビー玉を弾く時の構えは最大でこの長さまでだの、特殊ルールがいろいろありました。
簡単そうですが、ビー玉の転がるコース上は平坦ではありませんのでイレギュラーは必ず起こりますし、草が生えていたら良い隠れ家や防壁になります。微妙な操作と知恵、それと若干の運が勝敗の分かれ道となります。もちろん先行が絶対有利という訳でもありません。
もの凄ーく面白いですよ。
ぜひ一度お試しください。
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