木のおもちゃ がりとん > がりとんの特集記事一覧 > メルクリンの鉄道模型が扱いやすい理由
ACアダプター線路に繋いでいる時は、機関車などが走っていなくても常に通電しています。 ビリビリくるので線路は触らないように心がけてくださいね。 メルクリンは自社の鉄道模型を 《質の良いおもちゃである》 と言っています。 イメージ写真によく子供の絵を使うことからもその事をうかがうことができます。 こういった理念の下、子どもでもできるだけ扱いやすいようにメーカーが様々な工夫をしているのですが、ここでその工夫の一つをちょっとだけ触れてみたいと思います。 まず、どういう方法でメルクリンの機関車は動くのでしょうか。 このことを子どもでもとっても扱いやすいCトラックという名の線路に着目してお話します。 メルクリンのHOゲージで使用されるCトラックという線路は、本体が樹脂製、レール部分はもちろん金属製で、なんと断面はこのように 本物と同じレールの形をしています。 外観は・・・ 表から見るとこんな感じ 裏から見るとこんな感じです。 もちろんこの金属レール部分には電気が流れますので、裏から見るといろいろな金属パーツが付いています。 (実際に使用する時は電気が流れていますので、触らないように注意してくださいね) 現在、メルクリンのデジタルシステム(そうなんです。現在のメルクリンはデジタル制御で動いているのです)は交流の3線式を採用しています。 『3線式?交流?デジタル?動くのならどうでもいいやー』 と思われるかもしれませんが、違いを説明したいのでちょっとだけご説明。 鉄道模型には電気的に直流式と交流式という仕組みがあるのですが、メルクリンではその内の交流式を採用しています。直流に比べ、交流はトランスで簡単に電圧を変えることができるので比較的扱いやすいのですが、メルクリンの採用している交流は正弦波形の交流ではなく、細かな波が振れるパルス交流というものを使用しています。このパルス波形をうまく利用することにより、メルクリンの鉄道模型はコントローラー1つで様々な動作の指令を機関車やポイント、信号など数々の機器に伝えることができるのです。 例えば舌をベーっと出したようなこの部品、これは接続端子です。 繋ぐとこんな感じになります。 信号やポイントの遠隔切換のシステム(デコーダーとソレノイドスイッチ)を接続する際、設置する任意の場所に接続すればコントローラーまで配線をつなぐ必要も全くありません。 せっかくここまで話してしまったので、ついでにアナログとデジタルのお話も。 アナログの場合、機関車が走っていない時は線路に電気は流れておらず、線路に電気を流すことによって走り出す仕組みです。もちろん、その量によって速度の調整が出来るのですが、同じ線路上に複数の機関車を配置させた場合は、電気を流すことによって同じ方向に一斉に走り出しますので、衝突などの事故が起こることはありません。 一方、デジタルの場合は機関車が走っていなくても常にレールに電気が流れており、先にお話ししたパルス波形に指令を乗せて各機関車やポイント、信号などに伝える仕組みです。 『でも同じ線路上に沢山の機関車を載せたらどの機関車に伝わるか分からないんじゃないの?』 ご安心ください。 コントローラーはそういった指令を出す送信機の役目ですが、機関車やポイントの自動化システム、信号などには受信機に相当するものがついています。 これを《デコーダー》と呼んでいるのですが、デコーダーは個々に特有の設定となっていますので、送られた信号は迷子になることなく無事目的の機関車に辿り着くという仕組みになっています。 例えば・・・ 『この信号は赤、あの信号は青、ポイントはこっちに向けて、A車はあっち、B車はこっち』 という指令を同じ線路上で動かすことが出来るのです。 当然複数の機関車を走らせるときは運行計画を立てないと正面衝突という大事故?も起こりますのでご注意くださいね。 こういった数々の工夫は、遊ぶにあたっての技術的に大変な部分はメルクリンが引き受け、遊んでもらう人にはなるべく余計な工作をさせずレールをつなぐだけで簡単に遊べるようにという考えによるものです。 更に、交流は電荷が行ったり来たりするので、電荷が一方通行の直流に比べてレール上が汚れにくいという利点もあります。 (レールが汚れるということは給電が悪くなり機関車が動かなくなってしまいます。) 次に、鉄道模型には大きく分けて2線式と3線式という仕組みがあります。 電気的に極性というものが当然存在しており、鉄道模型もその例外ではありません。 2線式とは文字通りレール1本に対して1極の計2極ということで2線式。 3線式は同じように考えますと動力電源200VであるR/S/Tの3極と思われるかもしれませんが、両端のレール2本は同極(グランド)ですのでメルクリンの採用している3線式も極数は2極です。 『でも機関車は車輪しかないのにその車輪を載せる両端のレールが同極ならいくら優秀なおもちゃでも電気が流れないから動かないよー』 では残りの1本は??? 上の画像をよーくご覧ください。 両端のレールのちょうど真ん中にぽつぽつと点が並んでいるのが見えますでしょうか。 これが残りの1極です。 見た目にまったくつながってないのですがトラックを裏から見るとほらこのとおり。 真ん中の黒い金属製の帯でしっかりとつながっているのです。 これがもう1極の《センターレール》というものです。 『でもいくら裏でつながっていてもこんな点点じゃ、ましてや機関車にどうやって伝えるの?つながってないからやっぱり動かないよー』 ではどうやって機関車は給電しているのでしょう? 秘密はこれです。 メルクリンの機関車には必ずこんな形のスキーの板のようなものが機関車の底部についています。 この金属板が点点のセンターレールの上をすべるように接触することにより給電しているのです。 センターレールの存在は実際の鉄道にはないレールですので賛否両論あるかもしれませんが、《遊び》を中心に考えますと両端のレールとセンターレールという組み合わせで機関車を動かしており、たとえどちらかの車輪が何らかの原因で接触が悪くなったとしても、また交流であるという利点から安定した給電ができるように工夫されていますので、とても安心できる存在であると思います。 また、走らせるコースを8の字やめがねのように、レールが交差したり同じレール上を行ったり来たりさせるように作った場合、2線式では極性が交差し、そのままではショートするので、極性を変えたり裏側でちょっと厄介な電気的工作をごそごそしなくてはならないのですが、メルクリンの3線式のシステムでは上記構造により極性の干渉が起こらないので、そういったややこしい専門的なことは何も考えず、ちょうどプラレールのように自由に組み上げるだけで走らせることができるのです。 このように、子どもがしっかり遊ぶのにもメルクリンの採用している交流3線式は最高の組み合わせだと私は思います。 子どもが成長し、やがて大人になった時、遊びの価値観は変わるかもしれませんが、きっと楽しく遊ぶことができるでしょうし、同じ時、同じコースで、親子で、いやおじいちゃんおばあちゃんまで一緒になって遊ぶことのできる(これも人それぞれ何処に面白さを感じて楽しんでいるかは別ですが・・・)《素晴らしく優秀でよくできた遊び道具》という言葉がしっくりくるような気がします。 いかがですか?絶対お薦めです。 注)やはり電気で動くおもちゃ、レールの上(真ん中のぽつぽつとレール)を同時に触るとピリピリと感電しますので、基本はレールに触らない》ということを条件に楽しんで遊んでいただけたらと思います。
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