ケーセン社ぬいぐるみの生地の裁断と縫製技術
別のページでケーセン社のぬいぐるみ製作工程をご紹介しました。
様々な工程を経て製品が出来上がるのですが
この中で、生地の裁断とそのパーツ構成および縫製についてはどうしてももう少し詳しくお話したいと思いました。
ところで、これ何かお分かりになるでしょうか?
これは各ぬいぐるみごとに使用する金型を保管するための引き出しなのです。
生地の裁断は、まず刃のついている金型を一つ一つ丁寧に生地の上においていくのですが、その際、裁断しパーツとなる生地に植えつけられている毛をカットしないように全て掻き分けてセットしていきます。
プレス機で打ち抜き裁断完了。
沢山の金型を使い生地の上に並べて一気にプレス機にかければパーツは短時間で沢山裁断できるのに、何故ここまで金型を置く時に手間をかけるのでしょうか?
金型を置いただけでは金型の刃の下敷きになった毛はカットされてしまいます。
毛をカットされた場所は必ず縫製する箇所であり、その事はちょうど縫い合わせる周辺だけ毛が短くなってしまうということになります。
つまり、このまま縫い合わせるとパーツの縫い合わせ位置が回りと比べ凹んでしまいますので、さわっても必要以上にデコボコと違和感があるでしょうし、見た目にも継ぎ目がよく分かってしまうのです。(ケーセン社の製品でも短毛の場合はどうしても継ぎ目がわかってしまいますが・・・)
その為パーツ一つ一つまでこのような作業が必要となるのです。
自然なカーブを描かせる為にひとつのぬいぐるみに使用する生地のパーツ数は通常20種類程度、多いもので40種類を越える場合もあります。特に小さな動物のぬいぐるみや全てのぬいぐるみの顔はカーブを作るのが難しいのでパーツも小さく沢山のパーツから構成されています。
更に、これら小さなパーツをミスの無いように、且つ圧力をかけても生地同士が外れないしっかりとした縫製技術が必要となってきます。
このように裁断時に生地の毛を掻き分ける作業と縫製は、さわり心地がよく出来上がったものが生き生きとかっこよくなるよう美しく自然なカーブをぬいぐるみに持たせる為に最低限しなければならない、且つ重要な作業なのです。
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